2022年6月、諏訪湖を望む小高い丘に、一棟の貸切宿ができました。

その名も、「小さな泊まれる廻舞台 mawari」。実はこの宿、170年前につくられた農村歌舞伎廻舞台という建物をリノベーションしたものなのです。

さらに、この宿はもともとこの地に建っていたわけではありません。

「歴史ある建物を取り壊すことになった」

そんな話を聞きつけた花岡茂雄さんというひとりの男性が、自費を投じて移築し、ずっと守り続けてきたのです。

花岡さんが農村歌舞伎舞台を守り、長い時間を経て、一棟の宿へと生まれ変わるまで。

その道筋を、花岡さんと、宿のリノベーションを手がけた ReBuilding Center JAPAN 代表の東野との対談形式でお届けします。

170年前のエンターテイメント空間、農村歌舞伎廻舞台

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花岡: 大変なリノベーションだったろうに、東野さんはとてもうまく仕上げてくれたね。「全部お任せするよ」と言いつつ、こうしたいという自分の構想もあって口を出したりするものだから、やりにくかったでしょう(笑)。

東野: いえいえ! 全然そんなことはなかったです。むしろ、アイデアをもらえるのはありがたかったですし。

花岡: 私が知っていることは、なんでも教えたくなっちゃうんだよね。私の次に、この農村歌舞伎廻舞台を継いでもらうわけですから。

東野: もともとは、170年以上も前につくられた建物なんですよね。そもそも、農村歌舞伎廻舞台はどういったものだったんですか?